第33節清水戦解答編 ロティーナは戦術家ではない

後半は確かに攻勢に出ていたが、その攻めにイマイチ凄みがないセレッソ

 

それもその筈。シーズン通じてリスクを取らない攻めしかしてこなかったので、急にマリノスや川崎みたいに攻めろというのは、どだい無理な注文

 

しかしロティーナも来季の為にはこのままではダメだと考えていたのだろう。シーズンも終わりとなった今、とっておきの秘策を試す

 

ベンチでは田中アトムと同時に2枚替えで入る最終兵器のユニフォーム姿が!

 

その瞬間、ピッチ上の桜の戦士11人全員が、こう思っただろう

 

「アカン、ヤツが出たら試合が終わってまう」

「今すぐ点を取って、ロティーナのご乱心を止めねば」

「もうリスク承知で猛攻をかけよう」

 

そう、この交代のモーションは「今年はもうエェわ、ワシは諦めたから試合をクローズしよう」というロティー超一流のブラフ

 

当然本心ではギブアップなんて思ってない。本日はクラブ功労者の引退試合、選手たちが絶対に投げ出せない試合と承知の上で、「お前ら、はよ点取らへんかったらタオル投げるで」という無言の脅し

 

それを証拠に、同点になったらシレッと最終兵器を引っ込める。もし本気の交代カードなら、まだ逆転してないのに止める道理はない。それにヤツが交代準備OKになってから、少なくとも3回は試合が切れてるのに投入せずにピッチサイドに立たせたまま

 

嘗てセレッソには、絶妙な選手交替で何度も試合をひっくり返した名将も居た。試合中にFWをCBにコンバートして交代枠を使わずに守備固めする知恵者監督も居た

 

しかし、ベンチの選手にグラウンドコート脱がすだけで、ピッチの選手を発奮させる奇術師が居たとは...

 

前々から、ロティーナの凄いところは戦術ではないと思ってた(あんなのは現代欧州の標準をやってるだけ)

 

一方で前任者が手を焼いた跳ね返り者のチームのアイドルと王様を手なずける人身掌握術には、「特別扱いする訳でもなく、それどころかベンチ外に干したのに、何で彼らは従うの???」と不思議でならなかった

 

もう間違いない、ロティーナは人の心を操る名人。これがずば抜けてるから、西班牙と相違点が多い筈の日本に難なく対応できたし、ヴェルディとは全然チームカラーの違うセレッソでもアッサリとチームをまとめる事が出来た

 

あの辛気臭い、困ったようなしかめっ面に騙されてはいけない。彼はあの大きなハゲ頭の中で、あなたの考えてる事、あなたの行動パターンの全てを捉えてる