Ninja250インプレ 其の弐 こっちも"新設計"2気筒エンジン

前回取り上げたZX-25R、何でそんなに騒がれるかというと、当然250ccでは久々復活の4気筒エンジンだから

 

ハッキリ言ってそれ以外は「だからどうなの?」程度の新型車だと思うのだが(見てくれなんて'21モデルのNinja250?と言われても頷いてしまうぐらいインパクト無いし)、たかがエンジンされどエンジン、オートバイにとってはその性格を決定付ける重要なファクターなので、それが他にない形式となれば騒がれるのも当然か

 

エンジンの話をするとNinja250もZX-25R同様、新設計エンジンである。それも「ZZRより更に前から一体何年使い回しすんねん」33年ぶりの新設計で、先代より6馬力もアップしてる! こちらも話題になって然るべきなのに、発表時の取り上げられ方は25Rと比べて雲泥の差である

 

f:id:lobodemoto:20200706112805j:plain

旧型から大きな進化、33年ぶりの新設計エンジン!

 

やはり、字ズラ的にインパクトの無い単なる並列2気筒DOHCエンジンでは世間の注目を惹けないのか? 2気筒の割には低回転で粘るのでシフトダウンをサボるズボラ運転も可能な一方、高回転は回転上昇の仕方が"ジェントル"(振動が出ないという意味でなく、上昇の仕方に荒々しさがない、というあくまでもシロート感覚誉め言葉)な、中々良く出来たエンジンなのに

 

馬力は勿論だが、確かに振動面でも4気筒に勝てないだろうし、同じ2気筒でもCBR250RRに比べると幾分安っぽい振動でリアカウルを触るとビリビリ震えたりするが、振動対策は価格や性能とも連動するから、この振動もまた"初バイク"としては絶妙な落とし所"である

 

性能、つまり馬力と言えばこれで「CBR250RRを越えるクラス最高馬力!」とかだったらヤングマシンあたりが大いに持ち上げてくれた筈だが、実際には1馬力下回ってる(発表時のイヤーモデル比で)

 

ん? 後出しなのにスペックでライバルに劣る??? そう、これこそがこのエンジンが目標ありきで無理して出力を上げていない証拠。普通ならセールス最優先で「チョッとだけエンピツ舐めて無理して首位タイにしておくか」となった筈

 

そういう姑息な技に出ずに、「このコストで現在の技術で順当に造ったから、この馬力」なのであろう。ハズレが出来る筈もない

 

無理する必要がなかった理由は25Rの存在。営業サイドから「RRの上を行ってくれ」との要望が来ても、「それは4発の隠し球に任せてありますんで」の一言でオーケー。スペック競争に縛られる事なく、妙な新機構に拘る事もなく、エントリーユーザーに適正な性能&製造コストに焦点を合わせて開発出来たのだろう

 

そう、Ninja250を傑作たらしめた理由の一つが、25Rの併売。同一排気量で同じくフルカウルモデルが2車種併売、何でもかんでも「無駄を省く」がハバを効かせる世知辛い現代では有り得ない販売戦略だが、お陰でNinja250はターゲットユーザーに専念する事が出来た

 

ちなみにこの恩恵はZX-25Rも受けており、あちらは最高出力や高回転まで回せる事や、その時のフィーリングに専念。だからそれ以外の呪縛からは解放されて、例えばスペック表で分かる範疇では燃費なんてファクターはハナから気にしてない(「250なのに高過ぎる~」さんは相手にしてないって事(笑)

 

が、Kawasakiの販売戦略はNinja250にとって万々歳という訳でなく、何と身内に喰われるという悲しい一面もあって... (続く)