前回まででだいたいCBR250RR(MC51)の本質と私が思ってる事について書いたので、ここからは個々の部位のインプレ。先ずは電子制御スロットルとモード切替
CBRをライバルと決定的に差をつけるメカニズム的な大きな違い、それがスロットルバイワイヤ
これがあるCBRのアクセルグリップの操作は通常のオートバイとは違い、単にエンジンコントロールユニット(ECU)へ電気信号を送ってるに過ぎない(教習所のシミュレーターのアクセルを捻ってるようなもの)。アナタのアクセル操作はECUへの指示に過ぎず、その指示通りにスロットルを開けるかどうかはECUの胸先三寸
これは、大型バイクで普及している電子制御の一環。高性能になり過ぎた大型車のエンジンパワーはとてもシロートに扱いきれるシロモノではなく、ウデはないのにカネがあるから大型に乗ってしまうオヤジどもの危なっかしいアクセル操作を、ECUに補正させて「大型バイクを完全にコントロールする俺スゴい!」と思わせてくれてるメーカーの暖かい思いやり
なので大型に比較すると低出力の250に必ずしも必要とは言えないが(だからMC51がクラス初採用)、MC51にはこれを利用したセールスポイントがある。それがライディングモード切替
これは、「選んだモードにより、同じアクセル開度でもエンジン出力が異なる」、というシロモノで、「同じエンジンなのにスポーツ+モードは全然違う!」という記事もチラホラ見られる
しかし、そのメカニズムを理解してない人も結構居るようなので、この機会に明らかにしたい、というのがこの記事を書いた真意
モード切替のように意図的にエンジン出力を変更する仕組みは色々あって、例えばバルブタイミングとかリフト量を操作するとか、稼働するバルブ数の変更とか、燃料噴射量調整など、昔から様々な技術が考案されてきた
最新型のMC51、さぞや凄い事をしてると思いきや、さにあらず。単にECUがスロットルバルブ開度を調整してるだけ
このグラフを見れば一目瞭然、...と言いたいところだが、このグラフには致命的な書き間違え、というか拡大解釈がある(と思う)ので、???となってしまう人もいるのだろう
このグラフ、正しくは縦軸はスロットル(バルブ)開度、横軸はアクセル開度、だと思う
アクセルグリップに開度の目盛があるとしよう。グラフが直線のスポーツモードでは、アクセルを0→1→2→3→4...と開けていくと、それに応じてスロットルも0→1→2→3→4...と開いていく
しかしスポーツ+モードでは同じアクセル操作をしても、スロットルは0→4→6→7→7.5...みたいな感じで開いていく! つまり、チョット捻るだけでスロットルは大きく開き、スポーツモードよりもエンジン回転数が上がるって仕組み
ちなみに最高出力を上げる機構は無いので、アクセル全開時のスポーツとスポーツ+の出力は一緒。それはグラフ見れば一目瞭然、単にパーシャルでのスロットルバルブの開き方が違うだけ
なのに「スポーツ+モードは全然違う!」とか喜んでるYoutuberを見かけるんだけど、「それってスポーツモードで一気にアクセル開けるのと大差ないんやけど... 」と画面越しにツッコんでしまう(笑)
そんな子供騙しのモード切替だが、2年も乗ってると「趣深い使い方もあるもんやね」と気づく
(続く)