U23アジアカップ第1戦vsチャイナ 西尾の試練

セレッソにとって'20年のオフは大激動だった。就任2年間でセレッソを劇的にシステマティックなチームに変貌させたロティーナが馘首を切られ、もう引退してた老将が呼び戻されるという異常人事

 

その異常さに連動したのか、チームの守備の大黒柱ヨニッチに中国超級へ逃げられ、瀬古はスイスにぶっこ抜かれ、前年のレギュラーCBが2枚とも居なくなる緊急事態。おいおいJリーグ歴代でも屈指の堅守チームになれたのにイッキにザルッソに逆戻りか? と危ぶまれたチームを救ったのが、本記事の主役の西尾隆矢

 

前年までJ3U23で戦ってたので全く未知の戦力という訳ではなかったが、トップチーム出場歴無し(確か)の実質ルーキーにいきなりスタメンCBを任せるとは、やっぱりリタイアした老将、モーロクしたかと思ったが、なんと何の問題もなく試合をこなしていく!

 

CBの相方がイマイチパッとしないチアゴだった事もあって、'21年の守備を支えてたのは西尾と言っても差し支えなく、これはエラい大物を引き当てたなと、次年以降の成長を楽しみにしてた、のだが…

 

なんか”初年度”がピークな感じが否めないんよね。'22年は前年の実績からレギュラーだったが鳥海の台頭もあって'23年は完全に控えの立ち位置。あれっ、CBのセンパイ瀬古のルートに乗って今頃は欧州お買い上げの筈だったのに、どこで間違えた?

 

それでも、西尾は何か特別なモノ持ってるような気がする。先ずは所属クラブでは序列が落ちていく一方だったのに、U23ではコンスタントに使ってもらってたし、そしてそのセレッソでは舩木のCBコンバートで今季は控えどころかベンチ外の憂き目にあってもおかしくなかったところ、進藤の故障&鳥海の不調という”敵失”によりスタメンとして蘇る!

 

私は常々、プロスポーツの世界は実力だけで決まるような甘いもんやない、と強調してるが、運が有るか無いかってのは選手が成功するかどうかに大きなウェイトを占めてると断言する

 

偏見監督に失格の烙印押されて出番がもらえない、全く避けようのないファールで怪我させられる、そしてピッチ外でもハズレの代理人引いたばっかりに「俺は何でこんなところでサッカーやってるんやろう?」のドツボにハマる… 例を挙げればキリは無いが、いくら実力があってもタダ運が無いだけでコケる例はいくらでもある

 

私の見立てによると、西尾はかなりツイてる部類の選手やて。この試合でもCBという地味めなポジションにも関わらず、やたら実況の人に名前を連呼してもらってたし、こりゃ玄人筋からは評価されてる証拠、オーバーエイジの絡みで選出が厳しいCBやけどこのまま行けばチャンスありと思ってたら…

 

試練やね、この退場は。あれは'22年のルヴァン決勝のヨニッチの奴と似たようなケースでワタシ的には相当異議を唱えたいけど(あれが正当と見なされるならファウル貰いに行く醜悪なプレーがまかり通るから)、ここは結果が全ての”本大会予選”やからね

 

幸いな事に日本は勝利を収めたから”戦犯”扱いは免れたが、出停は何試合になるのか? 不在の間に代役が台頭して序列落ちしないのか? そもそも西尾が帰って来た時に日本がまだ大会に残っているのか?

 

汚名返上出来るかどうかの見通しは非常に暗いが、持ち前の強運で何とか乗り切ってほしいわ